コンサートは楽器に興味がある人だけのもの?
音楽教室の先生をしていると、地域のイベントでの演奏を頼まれたり、自分でミニコンサートをする機会が多々あるかと思います。
私も音楽教室のマネージャー時代、地域の様々なイベントで先生に演奏をお願いしたり、自ら企画したミニコンサートで演奏をお願いしたりと、かなりの数のイベントをプロデュースしてきました。
そんな中で感じたことが、イベントで楽器だけの演奏を行った場合、足を止める、あるいは聞きに来てくれる人というのは「その楽器に興味がある人」だけで、「楽器に興味がない人」は見向きもしません。
え?そんなの当たり前でしょう?と感じるかもしれませんが、「その楽器に興味がある人」だけのための演奏にして本当に良いのでしょうか?
長年、音楽教室や楽器業界にいると、コンサートというと「楽器だけ」というイメージが定着して、それが当たり前になってしまいますが、もし音楽や楽器を演奏するということの魅力を広げたいと考えるのであれば、楽器にあまり興味がない人も足や目や耳を止めさせるコンサートにしなくてはならないはずです。
楽器に興味がない人でもコンサートや発表会に呼ぶ方法
では、楽器演奏だけで、興味のない人たちを呼ぶことができるかと言えば、それはかなり難しい話で、生徒さんや知り合いにも友だちを連れてきてもらって半ば無理やり聞かせるという方法もありますが、果たして、それで楽器の魅力が伝わるかと言えば疑問です。なぜなら、単調な楽器演奏だけですと聞いている側は、よほど楽器が好きな人でなければ飽きてしまうからです。楽器演奏を聞くことを飽きさせるために聞きに来てもらっては、裾野を広げるどころか、逆に縮めてしまうことにもなりかねません。
そこで、考えなくてはいけないことが、楽器演奏だけのコンサートやイベントにしないこと。
つまり、楽器+○○○というコラボレーションを実現することです。
※コラボレーション・・・異なるもの同士が協力、連携すること。
楽器とのコラボレーションで結果が出た実例
よくある方法としては、楽器と絵本の読み聞かせ。絵本を読み聞かせしながら楽器演奏をおこなうことで、絵本に興味がある人たちに楽器演奏も聞いてもらえ、楽器に興味を持つことを身近に感じてもらえるよう仕掛けることができます。
ただし、コラボレーションで難しいのが、楽器が単なるBGMや効果音になりがちになってしまうということ。そうならないために「演出」が必要になります。
例えば、私がプロデュースしたコラボイベントで、「ヴァイオリン+プラネタリウム」というのがありました。幻想的な星空の下で奏でる生のヴァイオリンの音色。「星」という一見、楽器とは関係ない世界ですが、コラボレーションすることで、星の魅力と楽器の魅力が相乗効果を生み、このときのお客さんからの反響は凄いものがありました。
これは、ほんの一例で、もっと演出はあったのですが長くなるのでここでは割愛します。ただ、少なくとも楽器演奏だけでミニコンサートをおこなうよりは、地域での音楽の裾野を広げ、活動範囲が広がることで楽器を習いたい人が増えて生徒募集に繋がっていくという結果を生み出していきます。
コラボレーションは難しくありません
地域でのミニコンサートもそうですし、発表会もそうですが、内輪だけで盛り上がるには勿体無いと思います。せっかく労力をかけて音楽を生の楽器で聴かせる場所を作り上げるのですから、内輪だけではなく、まったく興味のなかった人も呼び込めて魅力を伝えることができる、コラボレーションを実現してみましょう。
難しく感じるかもしれませんが、この世に音楽がない場所はどこにもありません。健康と音楽。学習と音楽。映像と音楽。食事と音楽。音楽はありとあらゆるものと結合しやすい特徴を持っている、コラボレーションに適したものなのです。
コラボレーションは難しく考えず、思いついたら、それができる人を人脈をたどって見つけるだけです。当協会のピアノの先生で、マジックと発表会のコラボレーションを実現して、大盛り上がりになった方もいらっしゃいます。