以前にもブログとニュースレターで解説した、今回のJASRAC対音楽教室側の著作権料徴収問題ですが、
ここに来て、JASRAC側も正式に著作権料徴収の規定を文化庁に提出したようです。
JASRAC、音楽教室から使用料徴収 18年1月から(日本経済新聞)
やはり、受講料の2.5%がJASRAC側の決定事項のようで、規模が大きい音楽教室であればあるほど、経営へのダメージは計り知れないものになります。
今回の文化庁での提出について、JASRAC側の言い分を読むと、やはり両者の話し合いは一切、おこなわれていなかったようで、ヤマハ、カワイを軸とする音楽教室側がJASRACのやり方に堪忍袋の緒が切れて、一気に勝負に持ち込んだといった感じが見受けられます。
もともと、音楽教室や楽器店がコンサートや発表会、デモ演奏をやれば、申告していなくてもどこかしらかで聞きつけて著作権料を請求してくるJASRACに対し、音楽教室側は悪い感情しか持っていません。音楽を制作したクリエイターに支払うのは当然のことですが、ただ単にインターネットや新聞などのコンサート情報を監視して請求してくるだけで中間マージンを取っていくJASRACのやり口は、苦労してコンサートなどで音楽文化を広めようとしている音楽教室側にしてみると、単なる「搾取」としか思えません。それに加えて、音楽教室のレッスンまでも搾取の対象にするのかと思えば、話し合いの場を設けるという歩み寄りの姿勢を見せるのではなく、是か非か決めるところまでJASRACのやり口は来ているんだということを、世間に周知し世論を味方につける必要があります。
そしてJASRAC側にしてみても、新聞やインターネットに出るコンサート情報があれば、著作権料が発生することを見越して、請求書類を送ることができますが、教室や店独自でやるミニコンサートやデモ演奏、発表会など、告知されない音楽イベントについては調べることができないので、著作権料を請求することができません。一応、JASRAC側は音楽を講習に聞かせるイベントを行った場合、必ず申告するようにと伝えてきてはいますが、それに大人しく従う楽器店や音楽教室のほうが少ないでしょう。つまり、JASRAC側は取り損なっている著作権料が数多く存在すると見ています。
こう書くと、音楽を巡る感情のぶつかり合いのような気もしますが、裁判は感情の良し悪しで決まるものではありません。
裁判の争う部分と行方については、こちらの記事が分かりやすいと思います。
音楽教室がJASRAC集団提訴、現役ピアニストの弁護士はこう見る(DIAMOND online)
もし、JASRAC側が勝てば、間違いなく次は個人の音楽教室にもレッスンに対して著作権料を徴収するという流れになりますので、裁判の行方が気になるところです。