生徒が減るのは時代が悪いからなのか?
一般社団法人全国個人音楽教室生徒募集支援協会理事長の大沢です。
今日の話題は少々、見る人が見たら耳が痛い内容になるかもしれませんし、批判もあるかもしれません。
皆さんは「今の時代のピアノ教室とは?」と聞かれたら、なんと答えるでしょうか?
指導方法、生徒募集方法、生徒の個性や人生観、子供の数の減少などなど・・・色々な視点で昔との違いを想像するのではないでしょうか。そして、この答えを上げていく中で重要なことは、昔との違いにご自身の教室が「ついていけているか?」ということです。例えば生徒が減っている理由を「子供の数が減っているから」という一言で片付けるのは楽なことかもしれませんが、厳しい言い方をすると、子供の数が減っていても生徒を増やしている教室は沢山あります。生徒が減り続けるということは、その地域で教室の存在が「時代に置いていかれている」ということが言えます。
「時代に置いていかれている」と言ってしまうとお叱りの言葉を言いたくなる先生も大勢いると思います。しかし、もし、批判や否定の前に本当に自分の教室が時代から置いていかれているとしたら、何から遅れを取っているのか?なぜ地域の人々に受け入れられないのか?と考えることができれば、もっと冷静に生徒募集で巻き返しを図る知恵が生まれてくると思います。
時代に見放されるピアノ教室の特徴
一昔前のピアノ教室といえば、大手音楽教室がそうであるように、曜日と時間によって先生が決められ、体験教室を受けて入会して決められた教材とカリキュラムに沿って義務的に宿題が出され、宿題をやらなければ上達せず、そのうちマンネリ化して飽きてやる気を失い退会。個人のピアノ教室も大手音楽教室とほぼ同じ月謝やレッスン内容で、地域にどんな教室があるかは紹介やチラシなどを見ないと分からない。それでも子供の数が多かったのでなんとなく生徒募集は上手くいっていた。
しかし、今の時代は、スマホでかんたんにピアノ教室を見つけることができる時代です。まず第一に「スマホで見つからない教室」は時代に置いていかれていると言えます。
スマホでピアノ教室を見つけることできるということは、スマホで先生を選ぶことができるということです。今の時代、生徒は先生の個性や魅力、レッスンの指導方針などから先生を選ぶ事ができる時代になりました。ということは、大手音楽教室と個人のピアノ教室を同列に並べて比較ができるということです。ここで、大手音楽教室と内容がさほど変わらないのであれば個人のピアノ教室を選ぶ理由はありません。時代に取り残されていると言えます。
「生徒が選ぶ時代」に対応したレッスンで時代に追いつく
更に今の時代の子どもたちは、昔の子どもたちに比べて学ぶもの、遊ぶもの、見るものなどの選択肢が莫大に増えて非常に忙しくなったと言えます。学校で6時間授業を受けて帰った習い事に行き、宿題をやって、ゲームをやったりYouTubeも見なくてはなりませんし、録り溜めたテレビ番組もいつ見るか。趣味のある子ならその趣味もやらなくてはいけない。かつて娯楽といえばテレビや雑誌などという単一の情報しか得られなかった時代に比べると、スマホやタブレット一つで無限に近い世界からの選択肢が莫大に増えて、それもこれもやりたい。やらなくていけない。そんな忙しい子どもたちに合わせたレッスンができているか?ということも、時代に置いていかれてるかどうかを判別する重要なポイントになります。
当たり前のように昔と同じようなレッスン体系、時間、月謝、宿題などを続けても、選択肢が膨大になった子どもたち合わせたレッスンに改革をしていないと、時代に置いていかれたピアノ教室として選ばれることはなくなってしまいます。
そして、これらのことから、時代から置いていかれているピアノ教室というのは「生徒が選択できる時代についていけているか」というところにあります。最早、先生が一方的にレッスンをするだけのピアノ教室は終焉を迎えているのです。
twitterなどを見ていると、ピアノ教室の先生が「子供の数が少ないから生徒が集まらない」「宿題をやらない生徒が辞めた」「レッスンが合わないと私のせいにされた」といった愚痴を見ることが増えていますが、生徒や地域の責任にするのではなく、膨大な選択肢がある生徒に選ばれなかった、時代に取り残されているということを考える必要があります。