コロナウイルス対策ミスで生徒の信頼を失う音楽教室
一般社団法人全国個人音楽教室生徒募集支援協会、理事長の大沢です。
twitterやfacebookを見ていますと、今回のコロナウイルス対策でレッスンの取り扱いについて悩まれている先生が非常に多く、私も会員の皆様から沢山のご相談をいただいております。
レッスンをやるべきか、やらないべきか。個人音楽教室の先生だけではなく、大手の音楽教室でも悩みのタネとなり、中には判断を誤り、生徒の信頼を失う結果になっている教室も出てきているくらい、難しい時期を迎えています。
例えば、SNSでは「レッスンをやったら、生徒が退会した」という先生の声があちこちで上がっていたり、大手音楽教室でもレッスンを強行しようとして先生や生徒の反発にあい、謝罪の連絡をする羽目になったり、急にやっぱりレッスンを休みにしますと決めたために先生から生徒への連絡が間に合わずレッスンをせざるを得なくなった・・・といった、判断ミスによる生徒との信頼関係消失が実際に出てきており、ちょっと厳しいことを言わせていただくと・・・「SNS上でコロナウイルスが蔓延してるけどレッスンをやったら生徒が退会した」という発言に対し「そういう生徒は前から辞めたかったからコロナをちょうどいい理由にしただけ」という意見も言っている先生もいらっしゃいました。確かに、それも理由かもしれません。しかし、こういうネガティブなことを堂々と公の場に書いてしまうこと自体、危機管理ができていない。教室を統率するリーダーシップを持っていない、ということが見えてしまいます。どんな人でもこういう発言を公の場でする先生には習いたくないと思います。
当たり前の「安全」を持っていない音楽教室
以前から私は、生徒が集まる教室の条件として「安全」を、しつこく伝えてきました。
これは私が音楽教室のマネージャー時代に、あまりに危機管理、安全意識が少ない先生が多く、夜のレッスンで生徒にジュースを買いに行かせた先生や、教室が入っている建物で別な階から火災が発生した際、煙が立ち込める中、まだレッスンをしていた先生など・・・冗談でしょ?と思われる行動をしていた先生がいました。そして、この危機管理、安全意識の無さは小さいことも含めると音楽教室業界には無数に存在し、他の業界では当たり前のように行われている危機対策ができていないのが現状です。
今回のコロナウイルス対策で、大手でも危機対策を間違い、安全を管理できていないことが浮き彫りになりました。だからこそ、個人音楽教室でも「安全」を意識している教室は、大手にも負けない力を持つことができるのです。
そして、危機意識を安全に変えるための「リーダーシップ」が重要なチカラです。
音楽教室の危機を安心に変えるリーダーシップのチカラ
危機意識は持っていても、実際に本当の「安全」に変えるためには、行動して仕組みを作り、生徒を率先していく必要があります。
コロナウイルスの感染拡大を危機と考えるのであれば、レッスンをやるにしても、やらないにしても、教室が「安全」、そして「安心できる教室」であることを生徒に伝えなくてはいけません。
いち早く、マスクとアルコール、次亜塩素酸水を集めて、徹底的に消毒しながらレッスン。感染が心配でレッスンに来たくない生徒はいると思いますからレッスンに来るのは自由。1ヶ月レッスン料を無料。生徒全員にアンケートを取って、心配事を取り除いてレッスンの有無を決定。
「危機意識」を「安全」に変え、「リーダーシップ」を発揮して「安全」を「生徒の安心」に変えることで、今回のコロナウイルス対策を、生徒の信頼に変えた先生もいます。
しかし、これらのことをやったにも関わらず、生徒の信頼を失う先生もいますが、同じ行動をしても信頼を得られるかどうかは日頃のレッスンでリーダーシップを発揮できているかにかかってきます。全ては日頃のレッスンから生徒への安全を考え安心に変えるための行動を率先しておこなっているかどうかです。
そして、安心に変えるための行動には「柔軟性」が必要です。
危機意識・リーダーシップ・柔軟性を持つ先生が生徒の信頼を勝ち取る
大手が失敗したのは、レッスン回数を意地でもこなそうとしたことです。そのためにレッスンを強行しようとして、消毒や接触対策などの準備もしてあるのか分からないまま、不安しか与えなかった。この凝り固まった判断が、失敗を招いたのです。
余談になりますが私の娘が習っている習い事は、学校が臨時休校になり、学校が感染拡大防止で臨時休校して自粛いるのにレッスンはできない!といち早くレッスンと発表会を中止にして、月謝を無料にしました。それだけではなく、春休みは臨時休校ではなく普通の休みですから自粛せずレッスンをします!(この捉え方も凄いですが・・・)。ただし感染が心配だと思うので、来るのは自由です。来るなら無料で教えます。そろそろ子どもたちも体を持て余していると思うので。という決断をしました。
この決断が正しいのか間違っているのかは人それぞれの考え方です。批判する人もいれば、賛同する人もいます。答えはありません。ただ、言えることは、この決定は間違いなく習う側に安心感を与えてくれました。危機意識を安心に変えるため率先して柔軟な行動をおこなうリーダーシップ。コロナウイルスが落ち着いてからも、この先生に習わせたいと思わせられました。
「こうでなくてはいけない」「こう決めたのだから絶対にこうあるべき」というのは、非常時には通用しません。コロナウイルスで世界の状況はこの2ヶ月足らずで刻々と変わり続け、大きな変化となっています。変化に対応できる柔軟性がないと、危機を乗り越えることはできません。
会員の先生からいただいた相談に対し、「状況を見て柔軟に変えてください」と、多くの先生に送らせていただきました。ここまで世界が大きく変わり続けると、判断材料が多すぎて、しかも地域によっても状況はバラバラ。答えなんてありません。レッスンをやるもやらないも、どちらも答えです。問題は生徒が納得する安心を与えられるかです。
そのために必要な3つのチカラは「危機意識」「リーダーシップ」「柔軟性」です。そして、この3つを持ち合わせる音楽教室が大手にも負けない「安心」を持つことができ、生徒への「信頼」を勝ち取れます。
この3つのチカラを学び取るチャンスが今なのかもしれません。
決して、ネガティブな思考に振り回されないよう、前向きに考えていきましょう!